デイサービスの規模拡大 事務処理が複雑化していた
もともと小さな古民家で始まったデイサービスがだんだんと大きくなり、事業所2箇所と居宅支援事業所を構える会社になっていたにも関わらず、20年近く同じような業務フローで動いていたみたいです。
ご利用者さんの情報に関するファイルがいくつも共有フォルダにあって、ご利用者さんの新規ご契約時にはいくつかのファイルを開いてたくさんの名札を作り、さらにいくつかのファイルを開いてご利用者さんのリストに追加していく…というような作業をしていました。
他の業界で働いていた経験から
病院には電子カルテがあり、商社には販売管理システムがありますよね。
情報を一元管理したり、ミスなく仕事ができるような仕組みは仕事の必需品だと思っていました。それは小さな会社、業界全体がアナログ志向であったとしても、同じなのではないかと。
また、理系出身ということもあり”コンピューターに任せた方が良いような計算は自分で頑張らない” というような考えが染み付いていました。
私はまず業務フローを見直し、適切な名前がついていないサービスを命名をし、コンピュータに任せた方が良い部分を人間がしなくても良いようにデータベースを組んでいきました。
とにかく動くシステムを作ろうと思った
スタッフの多くが業務システムを使って仕事をしたことがなく、私が何をしたいのか?システム導入することの価値とは?を伝えるのは困難だと思いました。
経営者である両親には便利になるのだということは伝わりましたが、本質的な価値をわかってもらっているかどうかは定かでありません。
動くものをはやく見せないとただサボっているだけに思われてしまうと思い、ノーコードでデータベースを組めるFileMakerを使って開発しました。
FileMakerとの出会い
私と同じような考えの人がいるはずだと思い、”電子カルテ 自作”で検索してみた結果、FileMakerに出会いました。
介護事業所でシステムを自作する人は少なくても、開業されているお医者さんで自分で電子カルテを作りたい人は少なからずいるだろうと思ったのです。
無料の試用期間で顧客管理をできるところまで開発し、その成果を見せて、FileMakerを購入してもらうことができました。
孤独なインハウス開発
特に年配のスタッフからは、「私アナログ派だからそんなものは使わない」「かえって時間がかかる」などといったシステム化への否定的な言葉が多く聞かれました。しかし、仕事が大変大変とも言っていました。
一部のスタッフが自主的に使いだしてくれたことで、だんだんと紙で印刷することもなり自然とみんなが使うシステムになっていきました。
「使いたくない」「わからない」というスタッフにはその気持ちを掘り下げて言語化することから一緒に取り組み、システムの設計に反映していきました。
FileMakerでの開発は完全に独学で、教材もカンファレンスの動画がメインですが、一通りのことはできるようになったと思います。
使っていくうちに、アイデアが生まれた
導入時にはシステム化に反対していたスタッフからも、使っていくうちに「ここをこうしてほしい」「あれもFileMakerでできないかな?」といった声があがるようになりました。
例えば封筒を印刷する機能はスタッフからの要望があって作ったものですし、ipadでのレイアウトはスタッフに何度もヒアリングし、使ってもらいながら最適な使い心地を実現しました。
開発者の集まりに参加
カンファレンスやミーティングなどの開発者の集まりに参加し、FileMakerの話題で盛り上がりました。
社内でFileMakerの話ができる人はいなかったので、とても楽しかったです。
私は開発を進めていく中で、開発日記みたいなブログを書いていて、そこでも社外の人と繋がることができました。
システムの安定運用 そして暇に
自社システムをゼロから開発したことで自信もつき、FileMaker以外の技術にも積極的になっていました。
一方社内では安定的にシステムが運用されていて、もう「こんなものを作って欲しい」、「改善してほしい」といった声も少なくなっていました。デイサービスではあくまでも事務員というポジジョンで、事務作業もシステムによって少なくなっていたので、エンジニアとして転職しようかな〜と考えていたところでした。
Qiitaに書いた記事がトレンドに
そんなときに自社システムを紹介した記事がトレンドになりました!
同じ記事を自分のブログでも書いていたのですが、Qiita内のアドベントカレンダーという企画に参加していたため再掲しましたところ、多くの方に読んでいただき、反響をいただきました。
自分のブログはFileMaker開発者が主な読者層でしたが、この記事は本当にいろんな人に見てもらいました。
「自分もこんなことやってみたい」、「うちの事業所でも使いたい」といった声をいただきました!
そして独立へ…
自作したシステムに需要があるなら、これをまず他の事業所にも提供したいと思い…
思い切って独立することにしました!
まずはこのシステムをもとに、全国のデイサービスにセミオーダーシステムをご提供したいと思っています!